2017-02-01から1ヶ月間の記事一覧

そして吉原はない、

赤線もない。無いかのようにすべて見える。変遷に変遷してゆくテンポだけが意識にある。だがこうして庭の紅梅を頬杖ついて見ていると、紅梅の深さは何かへ抵抗しているみたいにあくまで真紅であった。明治の色とも変っていず、その幹を切っても幹のしんまで…

私には

此の冬枯の庭にある木のなかで、此の紅梅だけが明けて十一になつた末の娘のやうな氣がする。……正月二日のはげしいから風で紅梅が大分吹き散らされた。さうして末の娘はその夕方から熱を出して寢てゐる、私は今朝も娘の寢臺の傍で人から來た賀状を讀みながら…

「鶯さん鶯さん」

と猫なでごえで呼びかけました。「オヤ斑(ぶち)さん、今日はいいお天気ですね」「ニャーニャー、ホントにいいお天気ですね。それにこの梅の花のにおいのいいこと。ほんとにたべたくなるようですね」(夢野久作「梅のにおい」「夢野久作全集7」三一書房、初出…

正月立ち

春の来たらばかくしこそ梅を招(を)きつつ楽しき終へめ(大弐紀卿、巻第五815)☆お正月が来て春がきたら、梅を愛でて楽しみを尽くしましょう、みたいなところ。梅を愛でる、とはここでは詩歌を詠むことなんだけど、なんで詩歌を詠むのかは思案中。☆眠い。花粉症…