『モモ』②

『モモ』という作品は、映画にもなったり、何カ国語にも翻訳されているので、特に説明もいらないのだと思う。

ここでの読み方は人それぞれあっていいのだと思うので、今日は次の部分を引用したい。


「これでわかっただろう――ぼくがどんなになってしまったか。」自嘲するようにジジはちょっと笑い声をたてました。「もどりたくても、もうもどれない。ぼくはもうおしまいだ。おぼえているかい、〈ジジはいつまでもジジだ!〉、ぼくはそう言ってたね。でもジジはジジじゃなくなっちゃったんだ。モモ、ひとつだけきみに言っておくけどね、人生でいちばん危険なことは、かなえられるはずのない夢が、かなえられてしまうことなんだよ。いずれにせよ、ぼくのような場合はそうなんだ。ぼくにはもう夢がのこっていない。きみたちみんなのところにかえっても、もう夢はとりかえせないだろうよ。もうすっかりうんざりしちゃったんだ。」

ここはモモが久しぶりに年上の友人ジジに再会したところ。

物語を聞かせるのがうまかったジジは、すでにそれによって有名人になっていたのだが、疲弊している。



「もうすっかりうんざりしちゃったんだ。」


つづく

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飛行機の格納庫です。



おやすみなさい、ごきげんよう。