けみする/『パラダイムとは何か クーンの科学史革命』
閲する。
けみする。
と読むらしい。今日初めて知った読み方。
辞書を引くと、
①あらためる。調べる。
②年月を経る
(『三省堂国語辞典』 第四版)
とのこと。
たまたま最近読んでいた本のなかに出てきた。
この半世紀の間、われわれの性意識と同様に、われわれの科学観もまた大きく変わっている。その転換をもたらした著作こそ、クーンの『科学革命の構造』なのである。だとすれば、その刊行から四五年を閲した現在、クーンは彼に帰せられた汚名をそそぎ、先覚者としての地位を要求する権利をもっている。われわれが敢えて再審請求の裁判を起こした理由もまたそこにある。(野家啓一『パラダイムとは何か クーンの科学史革命』講談社、2008年、243・244頁、太字館長による)
長々と引用してしまったけど、ここでは年月を経るの意味。
図書館で閲覧という言葉を聞くけれど、「閲」の字の違う側面を知った気がして、少し斬新な心持ち。check,pastの意味なのね。
ここで登場するクーンは、科学史家のトーマス・S・クーン(Thomas S. Kuhhn)のこと。
三月の頭ごろに文庫を買って、ようやく読了。
クーンを中心に、科学史がどのように展開してきたかがわかる。
後半、クーンがポパー派に追及されていくところとかは、クーンにとって「消耗戦」だったというふうに描かれている(いやな言葉だよ・・)。なぜポパー派があのように追及したのかということに関しては、やはり心理学や社会学の範疇になっていくのかもしれない。いや、実際、一連の論争についてはすでに多くの研究もなされているのだろうと思う。
最後の方に、クーンとポパー派の対立を統合するような存在が2名紹介されていて、興味深く読んだ。結局対立が「通訳不可能」で終わるのかと思いきやだったので、それを乗り越えようとする(?)人物の存在を知れたのは個人的に収穫。
じきに思い出したけれど、「パラダイム」という言葉が、私が思っていたのと最初から最後まで違っていたので、誤解が解けてよかった、ということに尽きるのだと思う。
久しぶりに長文(でもないけど)を書いたので、今日はここで。
おやすみなさい。
良い夢見てくださいね〜ぶくぶくぶく