本の感想

おれはやっとのことで

十階の床をふんで汗を拭った。宮沢賢治/図書館幻想☆夢の中に出てくる建物はがらんどうとしている感じがある。☆地震の夢で起きて、母から昨日あんたうなされてたわよと告げられる。うなされる・うなるとは言葉にならない音声をただ出しているだけのアレだ。う…

祖父の四十九日に

風邪をひいた模様で、くしゃみと頭痛。忙しいと風邪をひいてしまうタイプの人間だ、私は。祖父が危篤になって葬儀が済んでからもブログを書く気にはならなかった。別に誰に強制されているわけでもなく、自分勝手にしたためているのだからそんな自意識過剰に…

そして吉原はない、

赤線もない。無いかのようにすべて見える。変遷に変遷してゆくテンポだけが意識にある。だがこうして庭の紅梅を頬杖ついて見ていると、紅梅の深さは何かへ抵抗しているみたいにあくまで真紅であった。明治の色とも変っていず、その幹を切っても幹のしんまで…

私には

此の冬枯の庭にある木のなかで、此の紅梅だけが明けて十一になつた末の娘のやうな氣がする。……正月二日のはげしいから風で紅梅が大分吹き散らされた。さうして末の娘はその夕方から熱を出して寢てゐる、私は今朝も娘の寢臺の傍で人から來た賀状を讀みながら…

「鶯さん鶯さん」

と猫なでごえで呼びかけました。「オヤ斑(ぶち)さん、今日はいいお天気ですね」「ニャーニャー、ホントにいいお天気ですね。それにこの梅の花のにおいのいいこと。ほんとにたべたくなるようですね」(夢野久作「梅のにおい」「夢野久作全集7」三一書房、初出…

梅花に対する感情

予等は梅花の一弁にも、鶴を想ひ、初月を想ひ、空山を想ひ、野水を想ひ、断角を想ひ、書燈を想ひ、脩竹を想ひ、清霜を想ひ、羅浮を想ひ、仙妃を想ひ、林処士の風流を想はざる能はず。(芥川龍之介「梅花に対する感情」『芥川龍之介全集 第十巻』)☆文人趣味…

梅ちらほら

「萬葉のうちにある梅の歌では、私は、坂上女郎の、 さかづきに梅の花うけて思ふどち 飲みてののちは散らむともよし が何か心象に沁みてくるような香があってわすれられない。王朝自由主義の中の明るい女性たちが、男どちと打ち交じって、杯を唇にあてている…

児童文学の

表紙や挿絵について、劇画がだったのは、映画のポスターを意識してたのかしらとふと。

最近また

市の図書館へ行くのが楽しくなっている。こんな本あったんだ、という感じ。あるいは数え切れない本に囲まれることの、一生かけても汲みつくせない、ということを知る楽しみ。頭部がないそうです。山海経の挿図。

殴り合う

貴族たち、という本を図書館で発見したので拝借することに。副題が「平安朝裏源氏物語」ということで、ざっくり言えば、源氏物語の光源氏的な優雅な貴族イメージの裏に、割と暴力沙汰な事件が記録として残ってますよ、ということでしょうか。そう言われれば…

本の影響で

ブログを書くということがなんだか嫌になってしまって数日。本には「書く」ことについてかなりのページが割かれてあって、それを読むと書くってなんだかなという気持ちになり、しょんぼりしてしまった。しかし、後々考えてみると書き手は20冊くらい本を出し…

何やら最近の上映で

この世界の片隅に、があるらしい。前に図書館にスタッフで入っていた時、今日マチ子のcocoonについて話題が出た後、40代の先輩からこうの史代の世界の〜の漫画を貸してもらった事がある。第二次世界大戦に関する漫画繋がりということだった。その先輩職員の…

あんまり久しぶりなので

こういう時って私いつもどうしてた?と思う。いろいろ引き出しを漁った後、特にどうもしてなかったことを知る。先々週姉とオサレカフェで。カボチャのアイスだそうで。もう寒いのでホットティーを飲む日々になる。☆不安への対処として、不安を除去するのでは…

秋の心

愁殺、なる言葉を教えてもらう。意味はひどく嘆き悲しむということで、殺は単に強調の助字らしいのだけど、なんというか凄い字面だな。。雨ばっかりなので昔からそういった落ち込みやすい気分になったりする季節なのかも。オーライ。☆これらの作品は、何らか…

帰りに予約本を貸出して

いただきました。図書館の方ありがとうございます。宮崎駿氏の『本へのとびら』岩波書店、2011年。なんと思い出のマーニーが。出版が2011年なので、マーニー映画化以前ということですな。風立ちぬ制作時期に書かれた本みたい(150頁)。宮崎駿氏が50冊選んだと…

この漠然とした

哀愁は畢竟するにその漠然とした形のまま死か生かの分岐点まで押しつめ突きつめて行くよりほかに仕方がない悲しさなのだ。その極まった分岐点で死を選ぶなら、それはそれで仕方がない。併しもし生きることを選ぶなら、(選ぶというよりもそのときには生きる…

この漠然とした哀愁は

畢竟するにその漠然とした形のまま死か生かの分岐点まで押しつめ突きつめて行くよりほかに仕方がない悲しさなのだ。その極まった分岐点で死を選ぶなら、それはそれで仕方がない。併しもし生きることを選ぶなら、(選ぶというよりもそのときには生きる力と化…

私も自分の

聖者が描きたい。私の魂の醜悪さに安息を与えてくれる自分の聖者を創りだしたい。それは私の文学の唯一の念願である。が、目下の私は泥棒か人殺しか鼻持のならない助平根性でも描くよりほかに仕様がない。いや、それすらも書けそうもないのだ。ただ私自身、…

風呂上がりから

クーラーの効いた部屋にいると、体温が下がっていい感じで眠気がくる。いちばん幸せを感ずる瞬間。昨日から引き続き、図書館で借りた中国医学の本をパラパラと。この絵何かで見たことあるのだけどなんだろう。思い出せない。

はっと

して見たらこういう茸が水芝と言うみたいですね。左の漢文に「衆水の旁(はた)に生う」と。衆水ってちょっとわからない。大量の水、みたいなことだろうか?ただただかわいい。

クレイマン・クレイマンについて

十年以上前、多分nonnoという若い女の子向けのファッション雑誌に、このクレイマン・クレイマンというpsのゲームが載っていた。確か女の子も楽しめるプレイステーションのゲーム特集、ということで紹介されていたのだけど、パラッパラッパーとかウンジャマラ…

なしの日にて

7月4日なので梨の日だそうですが、梨は秋なので少しはてな気味。梨の思い出。ランチを食べに行った時に、お品書きに水菓子として有りの実という記述があり、同行者に果物は梨のことと教えてもらった。 小6のとき宮沢賢治のやまなしを国語で習い、pcで絵を描…

君のおぼえた

小さな技術をいつくしみ、その中にやすらえ。アウレリウス 本日は半夏生なり。

人間の普段の

行動を映したビデオの再生速度を速めると、その人がバカに見えてくる。チャーリー・チャップリンの作品を代表とする昔の映画の、過度に浮かれたような動きを思い浮かべれば、私のいいたいことがわかるだろう。人は、別の人間や動物やロボットの考えらしきも…

アンナ=カレーニナの服

言わずと知れたトルストイ翁のアンナ=カレーニナ。人妻のアンナが若いウロンスキーと不倫をしてしまうというのが話の筋。アンナがウロンスキーと出会う前だったか、人の気持ちを華やかにするためにオシャレをするというくだりがある。ここを読んだ時、少し感…

移動中ラジオから

大貫妙子氏の特集をたまたま聴いていたら、「MOMO」という曲が流れていた。大貫氏と言えば、個人的に知っている範囲では「メトロポリタン美術館」「ピーターラビットとわたし」くらいなもので「MOMO」という曲は知らず。あのモモのことなのか?と歌詞をよく…

出版社で

本の価値がわかるという方もおられるが、個人的にはあまり指標にはならないような気もする。だいたい大手は編集や監修もしっかりしていて、それ以外のとこは信用ならねえみたいな話だ。そういう話の信用味もまあ。 うーん。ではでは。

見えないものは、

空間的比喩をもういちど使っていうと、見えるものの外部とか、排除される外在的な暗闇とかではなくて、見えるものの構造によって定義されるがゆえに見えるものそれ自体に内在する排除の内在的暗闇なのである。(今村仁司『排除の構造』p.95) 排除されたもの…

「たましい」という名の記憶装置

こうしたことは、通常の人びとの死についても見出せることである。ある家族のメンバーが亡くなったとき、そのメンバーの「たましい」がどこかで生き続けているという民間信仰がある。そしてその「たましい」は「先祖」と呼ばれたりもする。関係者や子孫は彼…

毎年三月になると、

すいせんの根だけは残っていて、青空の下に、黄色い炎の燃えるような花を開きました。そして、この人の心臓に染まるような花の香気は、またなんともいえぬ悲しみを含んでいるのです。(「三月の空の下」小川未明) コレも小川氏のいい感じには終わらない話。…